http://martinfowler.com/bliki/ExtemporarySpeaking.html

Jon Udellが講演のやり方について2つのモデルを挙げていた。

  • 原稿付き:話す内容を正確に書いておき、それを読み上げたり、暗記したりする方法。
  • スライド駆動:詳細なスライドを元に話を進めていく方法。

私はというと、3つ目のモデルを使用している——即興スタイルだ。ラフなアウトラインを元に話し始め、話しながら内容を構成していく。

私は原稿付きの講演はやったことがない。スライド駆動方式は長いことやっていたが、箇条書きのスライドはもう飽きた。スライドを見て話す内容を思い出すことができるのはいいが、逆にスライドに縛られているみたいでイヤになった。スライド駆動だと、事前に——カンファレンスの何ヶ月も前に——話す内容を決めておかなければならない。最初からスライドがなければ、内容がスライドに沿っていなくても誰も文句は言わない。だから私は、話す時に自由に内容を決めることができるのだ。

だからといって準備をしないというわけではない。話のネタはちゃんと用意して、頭にしっかりと叩き込んでおかなければならない。私の場合は、人生是即ち準備なのである。

具体的に言うと、私は事前にアウトラインを作っておくことが多い。インデックスカードにラフなアウトラインをスケッチしておく。こうして、おおまかな話の構成を作っておく。

これはRailsConfで使ったインデックスカードである。(字がヘタな件については /dev/null に捨てておくれ。私はいつも我慢してるんだから。)

Tony Bennから来た人が教えてくれた非常に役に立っているTipsがひとつある。それはポイントを3つ入れるというものである。各ポイントにはさらに3つのサブポイントを入れる。これは話の構成を決めるときにいい出発点になると思う。

このやり方は基調講演ではうまくいっている。私が近頃よく頼まれるのは、この基調講演である。ある程度詳細な技術の話の場合は、コードサンプルや図を載せるためにスライドを使う。ただ、基本的にスライドはほとんど使わない。使うとしても、アウトライン程度のものだ★——ただし、事前に用意する。

即席トークなら、話す数分前に内容を決めることができる。カンファレンスならば、どんな感じでやるか、どんな風に話すかを、トピックを決める前に掴んでおきたい。もちろん、まだラフな感じにしか決めてないので、実際に何を話すかは決めなくてはいけない——あとは話すだけだ。

この方法だと、引用されるときに困る。文章を書くのであれば、できるだけ明解に書くよう注意することができるが、即興で話すと誤解を招く恐れがある。観客が限られていればあまり問題ではないが、インターネットで配信されるとなるとそりゃもう大変だ。だから著名人は即興で話したがらない。非常に残念なことだ。

この方法は必ずしも万人向けのものではない。心地よいと感じて実際にやってみる人もいるだろうし、そうでない人もいるだろう。私の場合は、これが自分のスキルのひとつであってラッキーだったと思っている。この方法は自然さとエネルギーを引き出すことができる。 IT系のカンファレンスでよく見かける山盛りのPowerPointはもちろん、メディアで見かけるお上品な原稿付きのトークとも、いい意味で、まったく違ったものなのだ。