http://martinfowler.com/bliki/OnceUponaTimeInTheWest.html

私の友達はみんなオタクなわけだが、彼らは2003年11月を心待ちにしていた。 『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』のDVDが出たのだ(当然、 スペシャル・エクステンデッド・エディションを買ったわけだが)。 でも私にとってその日は、あるものの発売日だった。 セルジオ・レオーネ監督のすばらしい西部劇がとうとうDVDになったのだ。

これは万人受けするものじゃないかもしれない。ちょっと見ただけで自分に合うか合わないか分かると思う。 3人のガンマンが寂しげな駅で列車を待っている。会話はほとんどなし。 ハエが飛ぶ音と雫が落ちる音、それから関節を鳴らす音だけが聞こえる。 音楽さえ聞こえない。まるでジョン・ケージの曲のようだ(まあ、ジョン・ケージは何かを奏でていたとかなんとか言ってるけどさ)。 ただただ、時間がゆっくりと流れる(ちょっとだけテンポアップしてるところもあるけれどね)。 だけど、そこには映画の「雰囲気」と「美しさ」が満ち溢れている。まさに至福の時だ。

レオーネ監督は数本しか映画を撮っていない。だけど彼の作品はすべて素晴らしく独創的なものだ。 『ウェスタン』以前に、彼は『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』という作品を撮った。彼の代表作だ。 この二作品はよく似てはいるが、まったく違った作品である。うす汚れた砂漠に、冴えないヒーロー。どちらも同じだ。 だが、『ウェスタン』は『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』の半分の時間も話題にのぼらない。

ゆっくりと話が進んでいくのは本当に楽しい。 この作品のストーリーは非常にシンプルで、まさに「西部劇」って感じだ。 だけど、まるで雫が落ちるように、一滴ずつ、ゆっくりと、ゆっくりと、ストーリーが進んでいく。 ずっと同じペースで進んでいく。だんだん不安になってくる。

会話は希少価値があるほど少ない。 トゥッコ(訳注:Tuco。登場人物の名前。イーライ・ウォラックが演じている)は台詞を全部あわせても30分しゃべってないだろう。 会話という会話はない。レオーネ監督の特徴的なウルトラズームで映し出される。 登場人物は、自分が何を考えているか説明しない。こちらが表情などから判断しなければならない。表情といっても、伝統的なドラマにありがちな大げさなものではなく、いたって控えめなものだ(訳注:本当に表情を読み取れるの?という意味)。 だからといって、話についていけなくなるようなことはない。 レオーネ監督の最後の傑作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』のように、いかようにも解釈できるようなストーリーではない。 この作品の批評を耳にした。とてもいい言葉だ。”an opera where the arias aren’t sung, they’re stared”

このオペラには音楽がある。エンニオ・モリコーネ, によるものだ。 彼の独特なサウンドが、レオーネ作品を特徴付けている。この映画は見たところワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカと同じように撃ち合いが始まるまでの全シーンで音楽が流れている。音楽と映像が渾然一体となり、記憶に残る。音楽だけではワーグナー風ではないが、物語と共に流れるその音楽は、まさにワーグナーである。

So this is a slow film, with little action or dialog. It has a slow, hypnotic quality and I think there’s a lot really going on. It’s nice to have on DVD so I can give it the multiple watches I think this deserves. If you like this, you’ll probably also appreciate the enigmatic Once Upon a Time in America. But although I love all the three films I’ve mentioned here, Once Upon a Time in the West just peeps above the others, in the same way that the harmonica plays it’s haunting theme before that first gunfight.