http://martinfowler.com/bliki/Rotation.html

昨年はThoughtWorks社内を歩き回ることに多くの時間を費やしました。 多くのプロジェクトに携わる社員に話を聞いてまわったのです。 そのなかで気づいたのは、ローテーションの重要性でした。

我々は様々な方法でローテーションを行っています。 特筆すべきは、国を越えたローテーションです。 念入りに計画されたプログラムを設置し、 社員に対して6ヶ月から18ヶ月程度、他の国で過ごすことを奨励しています。 適度な期間を他の国で過ごすと視野がぐっと広がります。 私自身も(文化は似ていますが)イギリスとアメリカに住んだことでその恩恵に預かりました。 この精神的な成長は、たとえばインドのような文化がまったく異なる国で過ごした人にとっては、ものすごいものとなります。

地理的なローテーションには(特に家族のいる年配の方にとっては)多くの課題が伴います。 我々は、より多くの人間が簡単にローテーションを行えるような方法を探し出さなければなりません。 すでに社内に適用できるような考えができつつありますので、 社員のみなさんは海外のオフィスでしばらく時間を過ごすようにしてください。 ただし、本当に行けない理由のあるひともいるでしょうから、義務にはしません。

地理的ローテーションは、会社が国ごとに分かれてしまうことを避けるためのキーとなる手法だと考えています。 我々は、局地的に最適化するとグローバルでの活躍の邪魔になると考えるようになってきました。 ですから、自分の勤めているオフィスの成功よりも会社全体の成功を考えてくれる人を必要としています。

地理的なローテーション同様、 プロジェクト ローテーションも積極的に行っています。 活力を与えてくれる斬新なアイデアを持った人間をチームに迎えるにはどのようにすればよいかとプロジェクト チームが話しているのを何度も聞いたことがあります。 ローテーションする人間にとって、 様々な仕事ができるというメリットもあります。

プロジェクト ローテーションでもっとも難しいのは、 クライアントがよく知った有能な人間を手放してまでよく分からない新しい人間を受け入れてはくれないということです。 それはよく分かります。 多くのコンサルタント会社に対して私は、 ローテーションしないよう激しく主張してきました——私のマントラは「会社ではなく人を選べ」でした。 そう思うようになったのは、ビッグ8のコンサルタント会社(当時はそう呼ばれていました)で働いていたときでした。 そのコンサルタント会社では、提案時は強力なチームを送り込み、 契約を結べば明らかに劣ったチームと交代するという戦術をとっていました (すでに、あるクライアントのプロジェクトに割り当てられていたプロジェクト マネージャーが、他のクライアントに割り当てられたこともありました。 さらに悪いことに、そのPMは何千マイルも離れた場所にいるのに、 今も御社のプロジェクトに携わっていますよというフリをしていたのです。 クライアントがそのことについて怒ったことに対して、 彼らは驚いていました。おかしな話です。) ThoughtWorksが違うのは、二軍チームがいないという点です——しかし、これが単なるマーケティング スローガンでないことをクライアントに理解してもらうには時間がかかります。

プロジェクト ローテーションは、テクニックやスキルを広めるのに不可欠です。 ナレッジ マネジメントや再利用というものはそもそも人間にとって重要なことであり、 テクノロジーやプロセスにとって重要なことではありません。 ローテーションは、ナレッジ トランスファや再利用を促進するプラクティスであり、 人間そのものに注力しているがために、その効果があるのだと私は思います。