http://martinfowler.com/bliki/VeryLowDefectProject.html

XPについて話すとき、たいてい「適応型の計画手法」や「進化的な設計手法」といったものに注目が集まりますが、私がとりわけ興味を持っているのは、少ないながらも着実に伸びてきている「低欠陥XPプロジェクト」の数です。ここで言う「低欠陥」とは、バグの発生が月に1つ以下というレベルのことを指します。

最初に出会ったのは、Kentによる、ある企業についての記述でした。 この企業は食料を分類する機械を持っていました。機械にはベルトコンベアがついており、それがカメラを通り抜け、センサーをくぐり抜けるようになっています。そうして、果物や野菜がそれぞれのカテゴリに分類されていくわけです(これらの仕組みはSmalltalkで動いています)。 以前は既知のバグが100ほどありましたが、XPを適応してからはバグの混在率が下がり、 数ヶ月に一度、バグを取り除けばよいレベルにまでなりました。

2つ目のケースは特にハッピーでした。というのも、C3プロジェクトでの一緒だったメンバが関わっていたからです。彼らは今、クライスラー社でポータルソフトウェアを開発しています。 最初は萎え萎えなバグ混在率にショックを受けていたみたいですが、 2002年中にバグがただのひとつだけとなりました。 その間、新バージョンを一、二週間に一度リリースしていたようです。

あるソフトウェア会社は全社的にXPに移行しました。 大規模システムの仕事も多くありましたので、まさに挑戦です。 挑戦だったにも関わらず、 いくつかの新規プロジェクトで、非常に低いバグ混在率を成し遂げました。 2つのプロジェクトが、月にバグ1つというバグ混在率で進行中です。 あるプロジェクトでは、インストール前の政府認可にかかる日数が数週間から数日にまで短縮されました。

ThoughtWorks社内でもこういった事例をみかけますが、 まだ対外的に発表するのは早いかと思います。 ただ、いくつかは、非常にバグの少ない状況を達成しつつあります。

こういったバグ混在率の低いプロジェクトは少数派ですが、 XPの適応を真摯に行ったチームが共通して、このような結果をもたらしているようです。 超低レベル(sub-bug-month)ではないにせよ、バグ混在率が目に見えて下がったという話も数多く耳にします。

私が強調したいのは、今までのところ、ごくわずかなXPチームだけがこういった非常に低レベルのバグ混在率を達成できている、ということです。私が今までに出会ったのも、ほんの一握りの数でしかありません。 成功しているチームは非常に規律がとれており、 XPの経験を1,2年積んだひとが率いているようです。

これはプロジェクトのごく数パーセントの話でしかありません。 XPを適応しさえすれば、超低バグ混在率を成し遂げられるなどとは思わないでください。 他のプロセスでは成し遂げられない、などとも思わないでください。

しかし、結論として言えるのは、こういった非常に低いバグの混在率がソフトウェア開発でも達成可能だということです。 また、成功したチームは、XPを成功の役に立つ非常に重要なツールとして考えているのです。