http://martinfowler.com/bliki/BallAndSocket.html

UML 2 で登場した新しい記法のなかに、 クラスに必要なインターフェースを表す「ソケット」があります。 元は、複数のインターフェースのimplementを表すためにマイクロソフトによって一般化された「ロリポップ」でした。 Arrayクラスが複数のインターフェースをimplementすると、以下のように表せます。

この記法は、こういった類のものを表すには便利な代物です。 ここでrealizationの矢印を使ってしまうと、ごちゃごちゃした図になるでしょう。

クラスはインターフェースをimplementしているものだけではありません。 インターフェースを必要(required)とするクラスも考えられます。 それでは、今からあるクラスを描きますので想像してみてください。 このクラスは、デジタルミュージックのプレイリストについて、 トータル演奏時間などといった様々な情報を提供してくれます。 各ミュージックファイルの情報を得るには、 どこからかデータを取得しなければなりません。 私はかなりイケてるナウな野郎なので、ここではiTunesから情報を取得しちゃいます――もちろん、代替案が考えられるでしょうから (たとえばmp3ファイルから直接取得するとか) 他の実装と簡単に入れ替えられるようインターフェースを用います。

ソケットを使うことで、コンパクトにrequired interfaceを表すことができます。

ボールとソケットはお互いに結びつきやすく、 この2つが対になるのはごく自然なことでした。 ですから『UML Distilled』を書くときに参考にしたUML仕様では、 両者を結び付けることを許可していました。

ただ、以前のUML仕様では許可されていたのですが、 「UML委員会が誤りと決めた」とBran Solic が教えてくれました。 ボールとソケットを上記のように使うことはできないそうです。 UMLにはこのボールとソケット自体は残っていますが、 コンポーネント構造図をつなぐためだけに使われます――これは今回のトピックからは外れます。

となると、required interface と provided interface 間のリンクをどのように表せばよいのかという疑問がわきます。 UML 1 では依存を使って表していました。

Jim Rumbaughのリファレンスマニュアルでは、別の方法が示されています。

この例もそうですが、 少ない記法で同じ意味を表せるUML 1のスタイルのほうが私は好みです。 しかし、 複数のクラスがひとつのrequired interfaceをimplementするなどといった複雑な構造を表すには、 Rumbaughのスタイルが有用でしょう。

最初にボールとソケットを見たとき、それほど嫌いではありませんでした。 ただ、それほど使いたいとも思いませんでした。 シンプルな場合は、ソケットを使ったUML 1のスタイルがうまく機能します。 複雑な場合は、(ボールやソケットではなく)クラスのボックス図を使ってインターフェースを表したほうがいいと思います。