これは、私が知る限り最高の執筆のヒントである。ブルース・エッケルから教わったものだ。

そのヒントとは、ある程度まとまった草稿ができたら、声に出して読んでみることである。そうすることで、響きが良くない箇所が見つかり、修正が必要になる。興味深いことに、実際に声に出す必要はなく(つまり音を立てる必要はなく)、唇を動かすだけでよい1

このアドバイスは、(私のように)自分の文章に会話のトーンを持たせようとしている人々のためのものである。多くの人々は、話すときとは異なる方法で書くように教えられているが、私はこの会話のようなトーンのほうが、文章が魅力的になると感じる。私は、飲み屋で仲間たちに概念を説明している自分を想像する。私の文章を読むと、私が話しているのが聞こえると言う人がいるが、まさに私が求めている効果である。

私は冗長だと感じる文章を読むことが多い。冗長な文章には2種類ある。企業的な文章と学術的な文章だ。自分の文章を読んでみて、それがアクセンチュア2から出てきたかのように聞こえたなら、それは間違っていると私はよく言っている。また、当然ながら、受動態が好まれることはほとんどない。声に出して読むことで、こうした冗長性が目立つようになり、それを取り除くことができる。

私の場合、文章を書いているときに何度も(黙って)声に出しているようだ。

注記

  1. ここで重要なのは、書かれた言葉ではなく話された言葉を処理する脳の部分を活性化させる必要があるということだ。その部分は退屈なことに敏感なのだろう。 

  2. 私がアクセンチュアを槍玉に挙げたのは、彼らが大手のコンサルティング会社であり、非常に退屈で企業的に聞こえるために必要なあらゆることを行なっているからである。私が遭遇した最悪のケースは、何年も前に私の同僚が書いた素晴らしい文章が、マイクロソフトの編集者によって味気のない退屈な代物に書き換えられたことである。企業特有の書き方というものがあり、それは無意識に身につくものだが、それが蔓延していて大きな被害をもたらしているのである。