シグニチャシリーズの判断基準
http://www.martinfowler.com/bliki/SignatureSeriesCriteria.html
時々、私のシグニチャシリーズに入れてもらうにはどうすればよいかと聞かれます。 シグニチャシリーズは数多くありますが、それぞれに独自の取り決めが設けてあります。 ここでは、私のシグニチャシリーズの取り決めについてお話しましょう。
まず最初に、シリーズの目的についてですが、 このシリーズ本が、エンタープライズソフトウェアプロジェクトのテクニカルリーダー、アーキテクト(またはそれらを目指す人)たちの経験の促進(experience accelerators)になってくれればと思っています。
- マネジメントやプロセスに関するではなく、技術本であること。マネジメント関連の本は数多く出版されているので。
- エンタープライズソフトウェアに焦点をあてているのは、私に経験があるため。専門外の本について何か言う資格はないと思うから。
シリーズの初期にはパターンへの言及が多かったように思いますが、 これは単なる偶然であって、このシリーズの特徴ではありません。
認可プロセス
私が一番求めているのは、クオリティです。 本当に良い本だけをシリーズに入れたいと思っています(読者のみなさん方は、このシリーズを信頼してくださって結構ですよ)。 というわけで、このシリーズに認可されるには複雑なプロセスを経ることになります。 標準以下の本であれば認可するよりも却下したほうがよいと考えていますので、 認可プロセスが複雑になっているわけです。
まずは、本を書き始める前にどういった本になるのかを書いた提案書を作成してください。これが最初のステップです。 通常、出版社と契約するためには、こういった提案書を作成するものです。
私は品質を保証する立場にありますから、この提案段階で認めることはありません。 草稿を読ませていただいて初めて、その本を判断します。 実際には、この時点で既にピアソン出版(アジソン・ウェスレイかプレンティス・ホール)から出版される契約が結ばれているでしょう。
上で申し上げたように、私は提案段階からこのシリーズの本の製作に関わっています。 本がシリーズに認可されるよう、著者のお手伝いもします。 認可されるという保証は出来ませんが、お手伝いすることはできるのです。
最終的な判断は、私ひとりで行うわけではありません。 シリーズの著者全員が複数の候補をレビューし、その中からシリーズ本を決定するのです。 最終的には、私の判断になりますが、みんなの意見は真摯に受け止めます。 私の好みだけで本を選ばないよう彼らには頼んであります。 ですので、私が選んだ本でも、みんなが拒否することは十分にあり得ます。
シリーズの著者は、テクニカルレビューも行うことになります。 基本的にすべての候補のテクニカルレビューを行います。 将来このシリーズの著者になるあなたも、いずれこのテクニカルレビューに参加してもらうことになります。 シリーズの質を保つことが、シリーズの著者全員の利益になると私は考えています。