http://martinfowler.com/bliki/ThoughtWorks2005.html

(最後の部分を更新)

blogではThoughtWorksについて書かないようにしてきました。 企業宣伝のように思われるのが嫌だというのが主な理由です ——宣伝は各ページに貼ってあるロゴで十分でしょう。 しかし、我々は開発業務に終始するのではなく (開発業務は本を書くときのアイデアの源ですが)、 自らの仕組みを整備しなければならないと思うようになってきました。 私が華々しい独立コンサルタントとしての生活を辞めたのは、 ThoughtWorksが特別で風変わりな会社のように思えたからです。 昨年はThoughtWorksの社会面に興味を持っていました。 そのいくつかをここに記すことにします。

ThoughtWorksの2005年のスナップショットから始めましょう。

まずは数字を見てください。 現在のところ、7500万ドルの売上に対して従業員数は600名以下(世界規模)。 我々のオフィスは以下の場所にあります。

  • ’'’オーストラリア’’‘:ブリスベン、メルボルン、シドニー
  • ’'’カナダ’’‘:カルガリー
  • ’'’インド’’‘:バンガロール
  • ’'’イギリス’’‘:ロンドン
  • ’'’アメリカ’’‘:シカゴ、ナッシュビル、ニューヨーク、サンフランシスコ

2004年は50%の売上増、従業員増の成長を遂げました。 前2003年も同様の成長幅を遂げています。 この成長率は満足以上の出来映えです。 しかし、いろいろと苦労をしてきました。

このように成長はしていますが、 パイプラインを次々と流れてくる仕事を片づけるのに今も精一杯なのです。 過去2年間は、どれだけ従業員を採用できるかに係りっきりになっていました。 今もこの忙しい採用業務が続いているというのは嬉しいことです——採用するソフトウェア開発者は極わずかな人数です(採用されるのはトップの0.5%から1%程度です)。 この採用システムに多くの欠陥があることは分かっています(採用すべき人間を不採用にしてしまったりとか)。 ですが、採用すべきでない人を採用してしまうよりはマシだと思っています。

我々の開発業務の能力は向上し続けています。 漸進的開発とアジャイル原則を可能な限り推し進めており、 たとえ顧客が抵抗しても、それらを使って成功できる道を探しています。 特にテストを開発プロセスのなかに採り入れるのが好きで、 様々なレベル(ユニットテスト、受け入れテスト)や ロール(プログラマ、分析者)においてテストを行っています。 次は、開発イテレーションの早い段階から テスターと分析者をコラボレーションさせようと思っています。

技術的なメインプラットフォームは、Javaと.NETの2つです ——多くの開発者はその2つの技術を使うことを好んでいます。 これからはオープンソースのスクリプト言語にも取り組みたいと思っています(特にRubyやPython)。

これまでにも多くの仕事をこなしてきましたが、 プロジェクトが多すぎてきちんと取りかかれていないものもあります。 我々は、先ほど述べた手法でアプリケーション開発を本当に楽しめるひとを採用したいと思っています——フラストレーションをもたらすプロジェクトも数多くありますが。 フラストレーションの主な原因は、エンタープライズソフトウェア構築の難しさにあります。 しかし我々は、そういった複雑さを最小化できるようプロジェクトを上手に選択できるようにならなければなりません。 結局、ThoughtWorksのポイントとは、楽しく充実した仕事をすることにあります——お金が第一の目的ではありません。

私のことをThoughtWorksの顔だと思っているひとが多くいますが、 他の誰かがThoughtWorksの顔になって欲しいと思っています。 ThoughtWorksには多くのスピーカー、本の著者、オープンソースの作者がいます。 人数が多すぎるし、取りこぼしがあると大変ですから、 ここでは敢えて名前のリストアップはしませんけども。 こんな騒々しい同僚の感じを掴んでもらうには、 ThoughtBlogsをご覧になるとよいでしょう。 これはよく言ってることですが、 ThoughtWorks社の意見というものはなく、 あるのは社員の意見であり、 あなたが見つけるのもその社員の意見なのです。

私がThoughtWorksに入ったときの目標のひとつに、 社員がコントロールする会社にしたいというのがありました。 ここ十年のうち最初の数年間は、 ファイナンス面でのプレッシャーを感じており、 それが何よりも優先されていました。 ですが、今は変わってきています。 社員自身が会社を保有し、コントロールする様を 確実に見ることができます。 シンプルなスローガンですが、 我々のような規模で国際的なスコープを持つ企業にとって、 そのようなメカニズムを見つけるのは決して簡単なことではないのです。

Joel Spolsky が 「100人の応募者から1人を選出したとしても、トップの1%を選出したかどうかは分からない」と指摘しています (それには彼が述べていることよりも重要な理由があるのですが)。 有能な人は転職しないのだとしても、彼の意見には賛成できません。

comment

  • 2005-03-15 (火) 10:14:08 ‘’[[kdmsnr]]’’ : “I don’t agree with him however that very able people don’t change jobs.” ですよね。however が「しかし、」になっているのでしょうか? “However, I don’t …” とならないのはなぜでしょう。
  • 2005-03-15 (火) 01:29:02 ‘’[[はやし]]’’ : 最後のところは、「しかし、有能な人は転職しないという彼の意見には賛成できません。」ではないでしょうか。