http://martinfowler.com/bliki/ToyotaFailings.html

リーン手法をソフトウェアに導入を支持する理由として、トヨタの成功を挙げることが多い。では、最近のトヨタの品質欠陥は、リーンソフトウェア手法を貶めることになるのだろうか?

まず言えるのは、バランス感覚を持つべきだということだ。 リーン生産方式というのは、トヨタが1950年代の零細企業から2000年代の世界の大企業に躍進する土台となったものである。 1990年代までには、その他の自動車企業、そして多くの製造業者が、トヨタの手法をせっせとマネしていた。 一般的な感覚としては、この約10年間は、トヨタの手法のマネをすれば自動車の品質が全体的に向上するものと思われていたわけだ。 だから、最近のトヨタの問題が、この半世紀の成功を打ち消すほどのものだとすると、私は驚かざるをえない。

もっとマシな答えを言っておくと、リーン生産方式は製造業のものであり、ソフトウェアのものではないことを忘れてはいけないのである。 リーンの考えをソフトウェア開発に導入するのは、メタファによる問いかけの結果である。 リーンの考えはソフトウェア開発により良い考えをもたらしてくれ、それ自体は価値のあるものである。 しかし、それが有効かどうかは、ソフトウェアにおいてどのように使われるか次第であり、ソフトウェアにおける実績で判断されなければならない。 リーン手法の製造業での歴史は、良い話も悪い話も、他業界の話なのである。